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1-3

「おはようございます」
「・・・おう」
朝五時半、一之瀬家本家。
その広大な敷地内の中庭で早朝という時間にもかかわらず、和哉さんはしっかり起きていてトレーニングしていらっしゃいました。
昨日は徹夜で現場指揮をしていたはずですが、どうやら元気そうです。
「で、何の用だ?」
「朝の稽古をつけてもらおうと思いまして」
「それで今から行くという連絡をしたわけか」
疑問でいっぱいの顔から一変して納得したというような表情になりました。
家を出るときに予めそちらに行くとの旨をソーシャルワークシステムを使って連絡しておいたのが良かったですね。
「朝の稽古はいいとして、なんでまた急に?」
「実は今日の依頼にあたって父から忠告を受けまして」
「冬弥さんからか?」
「はい」
それから忠告内容を包み隠さず和哉さんに言いました。
しかし、和哉さんは話半分くらいな気持ちで聞いてて、その間に静かにストレッチをこなしていきます。
これくらいのことはいつものことなので怒る気もありません。
「…ということなんですが」
「ほう」
そこまで長々と話していたわけではないのですが、その間に和哉さんのストレッチは終わりました。
まあ、私が来る前から色々と運動していたみたいですから、おかしいところはないです。
「で、それを俺に伝えてどうするんだ?その仕事は二宮家がとったものだから俺がどうこういえる立場じゃないんだが」
「別に意見を求めようというわけではありません。ただ、協力が欲しくて」
「四季あたりを使ってくれていいぞ。俺は無理だ」
「宗春ですか・・」
四季宗春。
年は自分と同じだが、どこかまだ子供ぽい印象がある。
しかし、幻殺士の才能は非常に高く、一之瀬の分家の中でも有力な所の一族だ。
「わかりました。あとは稽古なんですが、誰かを守ることを想定した場面でやりたいんです」
「つまり、俺が悪役になれということか」
和哉さんがニヤッと笑う。
釣られて自分も笑った。
「良いだろう。壱番道場に先に行っていてくれ。必要な用意はあそこに全部あるはずだから」
「わかりました。和哉さんはどちらへ?」
「俺の準備をしてくる。そうかからないはずだ」
再度了解の言葉を言ってから、一度別れました。
和哉さんは母屋の方に向かい、私はまっすぐ道場・・という名の屋内訓練場に向かいました。
そこは体育館のようなものではなく、いえ、外観は完全に体育館のそれなんですが、内装は廃工場になっていました。
埃っぽさもどこか匂う油臭さも機械もすべて本物。
ここでは、少し自分のような能力を使うのは気をつけなければいけないと思います。
下手をやれば何かに引火して爆発というシャレにならない結果が目に見えていますから。
「またせた」
入り口が開いたと思ったら和哉さんが入ってきました。
服装は先ほどと全く変わりませんが、散弾銃に案山子を持ってきました。
「ほれ、これがお前の警護対象だ」
そう言って渡される案山子。
「場面はお前が対象をかくまいながら逃亡していたが、敵の手により廃工場に逃げ込んでやむなく交戦という状態。これでいいか?」
「ええ」
さすがだった。
まさに自分はそれを望んでいたのだ。
いつもこうして和哉さんは自分たちが望んでいることをしてくれる。
「奥で隠れていろ。スタートの合図は」
「なしでいいです」
「了解」
私は案山子を抱えて奥に向かっていった。

1-2

目が覚めた。
同時にアラームが鳴る。
もしかしたら逆かもしれませんが。
「4時・・・」
もう、この時間に起きるようになってから何年でしょうか。
昨日はお仕事があったので二時過ぎに寝たのですが、まさかこんなにパッチリと起きれるなんて思っていませんでした。
最初は起こされないと起きなかったりしたものですが、いつの間にか誰の手も借りることもなく起きれるようになっていました。
これを恐らく「慣れ」というのでしょう。
そして、すぐにそばにある手帳という名のノートに書いてある今日のスケジュールを確認するのも癖になっています。
「今日は・・・」
指で書かれている文字をなぞる。
すると赤ペン書かれた、大きな文字が目に飛び込んできました。
しかし、部屋が暗いのでなんて書いてあるかわからない。
能力を発動させ、近くの燭台に火を灯しました。
部屋が暖かい色で満たされます。
電気をつけてもいいんですが、そのために起きるのが面倒なので。
「幻灯市記念大学病院第二館三階の特別収容患者の夏目恵里と面会」
そういえば、この予定が今日ありましたね。
だから、昨夜一之瀬家が私を下げたんでしたっけ。
本当は今日、この予定はやりたくないというのが本音。
というのもついちょっと前、大量の幻が発生してしまい、私以外にも多くの幻殺士が出動している状態です。
しかも、いくら幻殺士とはいえ、私なら学生、ある人ならサラリーマンと表の仕事もあります。
私たちはお互い助け合っていかねばならないんですが・・・
しかし、これは言っていてもしかないでしょう。
気を取り直して、運動できる服装に着替え、制服とかを詰め込んだバックをもってリビングに行きました。
「あら、おはよう。今日も早いわね」
「おはようございます」
リビングにはすでに母がいました。
私は幻殺士の仕事がありますからいいとして、なんで主婦の母がここまで早起きしているのかがちょっとわかりません。
「トーストでいいかしら?」
「お願いします」
待つこと二分。
「はい」
「ありがとうございます」
ほかほかのトーストと簡単なサラダ、それに牛乳を持ってきてくれました。
うん、やっぱりおいしいです。
「そういえばね、一時間くらい前に冬弥さんが出ていったわよ?」
「父上がですか?なんでまた・・」
「どうも宗純(むねずみ)さんから連絡が来たらしくて」
父は先代二宮家当主であり、今は幻殺士を引退している。
なのでこんな早くから出ていくなんて想像ができなかった。
ちなみにちょっと前までめちゃくちゃ仲が悪かったんですが、今は和解して良好な関係です。
「で、なんで父上が事件に出動したんですか?」
「それが詳しいことは分からないけれど、幻に関係あるんじゃないかな?あの慌てぶりは」
それは結構大変です。
引退したとして、技量は私以上の父上が出動しなければいけないほどなのですから。
「幻関連でしょうか・・・」
独り言をつぶやいたと同時に、リビングの戸が開きました。
「非常に微妙な所だ」
「冬弥さん!」
「お疲れ様です、父上」
「父上はやめろ。なんか他人行儀みたいだ」
そう、かなり派手な服装のおじさん――自分の父が疲れた顔をして帰ってきました。
「あいつが追っていた被疑者がロストした。警察の万全な監視網を、だ」
あいつとは宗純さんのことでしょう。
「しかも、その警察の中には幻殺士もいた。なのにも関わらず消えた」
「それはすごいですね・・・」
淡々と言っているように思えるだろうが、今自分はとても驚いていた。
今の警察や幻殺士ににらまれた状態で逃げられるとは、と。
「今日、お前は夏目絵里って子に会いに行くんだよな」
「はい、そういう予定になっていますが」
父は端末を操作すると、自分の携帯にデータが送られてきました。
「その子のプロフィールだ」
「ありがとうございます」
「それと、気をつけろよ」
「何を・・・ですか」
「今回、裏の業界のやつらが活発動こうとしているとのうわさがある。先代「獄炎」の勘がな、何か嫌な予感を察知しているもんでよ」
その目は真剣だった。
どうも、予想していた以上の大事になりそうだと、この時思いました。

1-1

「以上を持ちまして解決したと判断しました」
「はいよ、お疲れさん」
先ほどの幻についての簡単な報告を一之瀬和哉に報告した。
電話の向こうの和哉のこえはとても眠そうだ。
夜中だという時間を考慮すればそれも当たり前だろう。
「報告はそんなけ?あとなんかなかった?」
「いえ、特にこれ以上は」
「そうか。じゃ、あがっていいよ」
「はい?」
言われた意味が分からず、聞き直した。
「もう終わっていいよ」
「ええと、まだパトロールしなければいけないところが残っているんですが・・・」
「それは芦屋っていうやつが引き継ぐ。お前、明日学校に加え仕事も入ってるんだろ?もう帰って休め」
ここまで言われると引くことは無礼になる。
「分かりました」
そう考え、和哉の命令を了承した。
「それでは、あとのことはお任せします」
現場で頑張っている救護や警察にねぎらいの言葉をかけてその場を後にした。




「うわ、ここ地面が真っ白っすね。さっきの少年の仕業ですか??」
若い警察官が隣でじっくり現場検証している老警察官に聞いた。
「間違いねえ、これはさっきの小僧のだ。名前は何だって?」
「二宮冬季です。中部幻殺士連盟に所属と照会が完了しています。」
「なるほど、二宮の坊ちゃんか」
「しってるんですか?」
「知ってるも何も、そいつはここんところにいる幻殺士の中でも五本指に入る怪物だ。代々二宮の名前を背負ってる幻殺士は炎を操る能力を持ってるんだ」
「物知りっすね」
「お前もしといた方がいいぞ。ほかにもやばい奴はいっぱいいる」
老警察官は懐から普通の手帳を出して、若い警察官に渡した。
「そこにメモってあるやつが中部を中心に活躍しているやつらの情報だ」
「…若い奴らが多いですね」
「そりゃあれだ。幻の討伐に失敗して食べられたり、殺されたりするからな。よく更新される」
「へえ・・」
その手帳にはきっちりと冬季も載っていた。

二宮冬季(16)男
炎を自在に操り、敵を焼き殺したりするのが特徴。中部地方のナンバー2

始まり

 例年よりも今年の五月は寒いとからか、住宅地の帰りを行くサラリーマンも、どこかの帰りを急ぐ女の人も、学生もニートもみんなまだこの時期としては厚めの衣服を着ていた。
 もうとっぷりと日は暮れて、街灯は闇が無いようにと光を放つ。
 空を見上げれば星が・・・と言いたいところだが、あいにくと都会の中じゃほとんど見えない。
 そして、自分は悠長に周りや空を見るなんてそんな余裕はなかった。
 必死に走ったから汗は全身から吹き出し、それを吸ったシャツが邪魔なくらいべったりと張り付く。
 息は切れ切れとなり、肺は痛い。
 こんなことになるんだったらもう少し普段から運動しておくんだったと後悔する。
「あっ!」
 なににつまずいたのか、無様に転ぶ。
 だが、アドレナリンが出ているからか、別に熱く感じるだけで痛みはない。
 だけど、もう体は限界らしい。
 立ち上がろうにも立ち上がれない。
 背後から犬のような「ハッハッハッ」という複数の息遣いが聞こえてきた。
 一気に背中から嫌な汗が噴き出す。
 犬というか、獣は嫌いじゃない。むしろ大好きな方だが、あれは違う。
「よく逃げるやつだ」
 追いかけてきたそいつは、ゆっくりとした低い声でそう言ってきた。
 銀色の毛並みに強そうな牙。
 そして目は三つあり、尻尾の先は冷たさを感じさせるような青い炎がついていた。
 『幻』、この世界にはいない、他世界からの侵入者。
「最初は油ぎっといかもしれんと思っていたが、案外肉の引き締まりもあり食い応えがありそうだな・・」
 じゅるりと涎をすする音が聞こえる。
「ひっひっ!!!」
 後ろを見ないで必死に腕を伸ばし、何とか『幻』から逃げようとあがく。
 だが、ずぶっという感触が自分の右ふくらはぎに走った。
「ぎゃあああああああああああああ!!」
 痛い、痛い、痛い、熱い!!
 あまりの痛さに左足で右足に食いついてるそいつを反射的に蹴り飛ばした。
 キャンという悲鳴と、蹴り飛ばしたという確かな感触。
 逃げようと思ったが右足が鉛のように重く、動かせない。
 恐る恐る姿勢をうつ伏せから仰向けに変え、噛まれた足を見る。
 まだかまれただけだったらしく、しっかりと足は残っていた。
 ただし、どくどくと血液が流れている。
「結構効いたぞ・・お前の蹴り」
 化け犬は目を怒らせ、口からは自分の血なのか、はたまた蹴った時に切れたのか血がしたたり落ちていた。
 その姿をみて、逃げなきゃとかそういう考えは全部が真っ白に無くなった。
 未知の者に襲われている。
 いや、もう俺はこいつに食われてしまう。
 そう思ったのか、もう力が入らない。
 もっと家族サービスとかしてあげればよかった。
 飛び掛かってくる化け犬をただ見ながら後悔した。
 その時だった。
 赤く、とても熱そうな火炎弾が背後から飛び出したのは。
 それは化け犬に命中し、火だるまにした。
「すいません、大丈夫・・・ではありませんね」
 いきなり男子制服をきた少年が現れた。
 俺を見るなりそう言ってきた。
「お前は・・」
「静かにしていてください。すぐ終わらせますから」
 その視線は俺ではなく、化け犬に向けられる。
 灼熱の炎の中、あの化け犬は立ち上がろうとしていた。
「火に耐性があるみたいですが・・・」
 右手を化け犬に向ける。
「まあ、これなら耐えれないでしょう」
 言うと同時に何発もの火炎弾が少年から放たれ、化け犬は断末魔を上げた。
 残ったのは高温の為白くなった地面と黒焦げの死体。
「お、お前は・・・?」
「遅くなりましたが幻殺士です。あなたの救助に来ました」
 たんたんと話す少年。
 俺は感謝よりも先に、
「もっと早く助けに来いよ・・・」
 文句を先に言った。
 
 

なんかリクエストがあったから書き始めたシリーズ
当たり前だが、超不定期更新
迷子になって終わる可能性も極大
文章構成とかへたくそ
それでもいいなら読めばいいんじゃないかな



<登場人物>
◎二宮 冬季(ニノミヤ トウキ)・・・高校二年生、基本口調は敬語。虫が苦手
一之瀬 和哉(イチノセ カズヤ)・・・高校二年生。苦手なものは特にない



<用語集>
幻殺士(ゲンサツシ)・・・人非ざる力を持ち、基本的にこの世界出身の者を示す。
幻(マボロシ)・・・この世非ざる容姿、力を持つ別世界から来たものの総称。害をなすものは幻殺士に遮断される。
プロフィール

結城

Author:結城
結城 史進(ゆうき ししん)
大学生から社会人に変身した。
最近は仕事をする傍らで帰ってからSS書いたりするのが趣味。
合同誌に少しながら参加していったりしてます。

最近の参加/発表作品
C90 
清霜合同(主催:kogasana様)
砲雷撃戦!よーい!合同演習四戦目 
こんにゃく合同(主催:せのん様)
坂之上鎮守府の一日~榛名、頑張ります!~
C91
潜水艦合同(主催:茶在)

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